フットボールの参考書

自分のサッカーに関する考えのアウトプットの場です。文字通り「参考」にして頂けるとありがたいです。

ホッフェンハイムvsドルトムント〜攻守にわたるポジショナルプレー〜(後半戦)

さて、後半戦です。

 

後半戦のザックリとした展開は

 

守るホッフェン&持たされるドルトムント

 

という感じ。先制してあまり無理をしなくて良いホッフェンハイムと追いつくためにもボールを握りたいドルトムントは思惑が一致して前半とは打って変わってポゼッションはドルトムントが握っていく。

 

後半開始5分間の支配率はドル70%ホッフェンハイム30%だったほど、しかし効果的な攻撃は全く仕掛けられない。ブロックの外を行ったり来たり。特にシュールレがほとんど消えていて前半同様ロイス、ゲレイロのゴリゴリ個人技くらいしか攻め手がない感じ。

 

ドルトムントも5-3-2の泣き所、WBの目の前を起点に攻めようとするもののホッフェンハイムはポジショナルなディフェンスであっさり対応してしまう。ドルトムントとはかなり対照的な感じの5バックの完成度だった。一般的に5-3-2の場合変換ディフェンスをするのだけれどホッフェンハイムはそれがほぼ完璧に近い。一方のドルトムントはなんとなーくやっているようなやってないような。もちろんダブルボランチと3センターの違いは大きく影響しているけれども、それにしても……ちょっと完成度が違いすぎる。

今更にはなるけれど変換ディフェンスとはなんぞやという人もいるだろうから一応おさらい。

5-3-2では基本的にサイドの枚数が足りなくなるからそこを狙われるのだけれど、それに対応するためにある程度決まった形のスライドが行われる。それが変換ディフェンス。


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具体的には4-4-2変換と4-3-3変換の2つでこの試合においては相手も3バックなので割と変換がわかりやすい形で起きていたのでもし5-3-2の守備について学びたい人は実際に試合を見ることをおすすめする。

まずは4-4-2変換


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シンプルに3センターの脇をWBが狙ってきた場合に自分のWBを押し出し、DFラインをそれに応じて4バックに変換するもの。ちなみに言うとWBは絶対縦切り、理由はスライドが間に合わず相手のWGにつけられると結構やばいからと3センターは中央圧縮してるからそこに誘導した方がボールが取れるからの2つ。

 

2つ目の4-3-3変換。これは相手がサリーダラヴォルピアーナしてHVが運んできた場合、もしくは逆サイドからのサイドチェンジ後でWBのスライドが間に合わない場合に発生する


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要するに同数プレスのうちの一つ。ちなみにドルトムントはこの4-3-3変換で同数を作られた時にほぼ何も出来ずバックパスしてそれを狙われるということを繰り返していた。ドルトムントの同数プレスがあっさり剥がされていたのとはだいぶ対照的だった。ホッフェンハイムの追い方がそれだけよかったのだけれどね

 

ということでこの変換の前になす術なくHVとWBの間でボールを行ったり来たりさせることとなったドルトムント。4-4-2変換時にHVがフリーになることを利用して運ぶという選択肢もあったのだけれどシュメルツァーピシュチェクはほぼそれをしなかった。なのでホッフェンハイムとしては一瞬やばいかなとなるんだけれど、やっぱり平気だねとなるのでだいぶ楽。

 

というわけで、これはホッフェンハイムはこのまま持たせ続ければいいなと思っていたんだけれどなんと58分。ホッフェンハイム的には完全にハメ切ったと思ったところでロイスが2枚ブチ抜いてチャンス到来。

数的有利になった所を見逃さずロイス、ゲレイロがスーパー個人能力からゴールしてなんと同点にしてしまう。

 

困ったホッフェンハイム、引き分けだとCLがこぼれ落ちてしまう。よってもう1度ボール保持を開始、ちなみにやることは前半と全く変わらない。ドルトムントもやることは全く変わらないので揺さぶり放題のホッフェンハイム

 

というわけで、わずか5分後サイドチェンジからの再サイドチェンジでスライドを完全に崩壊させて数的有利をつくりポッカリ空いた中央にサライが飛び出して勝ち越しゴール。なんというか残念だったのがホッフェンハイムのボール保持に対してドルトムントは全く対応に変化がなかったこと。散々フォクトに散らされて揺さぶられていたのに同じことをやられてみすみす失点したところはほんとに残念

ただ、CLストレートインにはもう1点必要なホッフェンハイムはまだボールを保持して攻撃を続ける。やることは一緒。本当に疑問なのはドルトムントが何も変えなかったこと

というわけで同じような揺さぶられたかたで崩されるドルトムント、サイドでFKを与えてしまい、そこから三失点目。ホッフェンハイムは試合をクローズしにかかる。具体的にはブロックをしいて持たせる作戦である。基本的に持たせてても全く問題はないのでプレスラインも10mほど下げて引きこもって締めにかかっていき、隙あらばカウンターでというところ。ドルトムントとしてはようやくここでシュールレを下げて香川in、左サイドをかき回わそうとはするけれど相変わらず的確な変換と全くズレないホッフェンハイム、ブロックの外で釣りだそうとしても勝手にやらせることでドルトムントの思い通りにはさせない。そうこうしてるうちにロスタイムにはいり今季引退のヴァイデンフェラーが登場し、事実上の白旗宣言のドルトムント。そのまま試合は終了し、見事CLストレートインを決めたホッフェンハイムでした。

 

まとめ

 

非常に長くなってしまったのが申し訳ないですwホッフェンハイムは攻守にわたるポジショナルプレーがひかり完勝でした。僕としてはドルトムントとの戦術合戦が見られるかなと思ったのだけれども意外にもホッフェンハイム臨機応変な対応を見せた感じ。ドルトムントはリソース勝負になってしまったのが残念だったかなって感じでしたとさ