フットボールの参考書

自分のサッカーに関する考えのアウトプットの場です。文字通り「参考」にして頂けるとありがたいです。

ポジショナルプレー概論3

こんにちわ、れうすです。今回はポジショナルプレー概論3をお届けしたいとおもいます。一応概論編最終回の予定です。(予定ですw)

ちなみ、実践編で書こうと思ってるのは、

質的優位ってなに?とか優位の三条件は「どうやって」作るのか?などポジショナルプレーを実践するために必要なことですね。文字通り実践編です。

 

さて、通常であればここで本論に入るのですが、申し訳ありませんm(_ _)m 今回の記事は読む前にまずこちらの記事↓をお読みください。(もう読んだことあるよ!って方はそのままgo!)

「Crash Course to Positional Play」 ポジショナルプレー短期集中コース 翻訳 パート3 - Take it easy

 

さて、では皆さん上の記事を読んだということで早速本論に入りたいとおもいます。今回のテーマはサポート」です。サポートとは何なのかを、明らかにしたいとおもいます。

 

・フェイズスペースとインタベンションスペースとは??

さあ、上記の記事を読んでいくとこの聞きなれない単語が出てきましたね。このフェイズスペースとインタベンションスペースというのは一体なんだというのでしょうか?読み進めていくと

フェイズスペース=広い

インタベンションスペース=フェイズスペースの中にある。

ということはすぐにわかりますね。ただ、あの記事を読むだけではいまいちピンとこないのではないでしょうか?分かるような分からないような……と思った人が多いはずです。しかし、この考え方は結構重要なので分からないまま放置してしまうのはあまりよろしくないので少しずつ分解して理解して行きましょう。

 

さて、まずは感覚的に理解を促すためにフェイズスペースとインタベンションスペースというのを単純に直訳して見ます。

フェイズスペース→局面の空間

インタベンションスペース→介入の空間

 

うーん……日本語にした分細かいニュアンスは伝わりやすく、少しはマシになりましたがまだまだ何かわからない……

ということで、さらに深く掘り進めましょう。まずはフェイズスペース。

「サッカーにおいてフェイズという言葉からどんなことを想像する?」と聞かれて、脳内で映像をつくれる人はなかなかいないと思うのですが、「サッカーにおいて局面ときいたらどんなことを想像する?」と聞かれたら「あー、ゴール前でシュート打ちそうな局面とか?」や「サイドで相手を崩してるようなところー」など、ボールを中心としたある場面を切り取った状況を思い浮かべられるのではないでしょうか?もし映像を思い浮かべられれば、その脳内映像のなかにいるプレーヤーは何かプレーに関与しそうですよね?

このような「局面」という言葉の使い方に納得していただければ、フェイズスペースの概念はあまり難しくありません。なぜならフェイズスペースというのはその通り「その局面でプレーに関与しうるスペース」であるからです。

 

この調子でインタベンションスペースも考えてみましょう。サッカーのプレーにおいて介入する。といえばボールの近くで関与してるのかな?と何となくイメージ出来るのではないでしょうか?つまりインタベンションスペースとはボールホルダーに対して積極的に関与するスペースと言えます。

 

では、言葉でざっくりとした概念を確認したところで、さらに図をつかってを深めて行きましょう。

 

 

この図においてフェイズスペースとインタベンションスペースを考えます。この場合であれば、全てのプレーヤーがボールに関与する可能性があるのでフェイズスペースは次のようになります。


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インタベンションスペースに関してはあまり厳密に定義はできませんが、SBに直接的には関与しうるスペースを考えると



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 おおよそこんな感じになります。いかがでしょうか?なんとなく、わかりましたか?

 

念のため、もう少し確認してみましょう。


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 この局面なら、図のようなフェイズスペースとインタベンションスペースが得られることになります。

 

一応注意していただきたいのはどちらもプレーに関与しうるなど非常に抽象的な概念ですので上の図でもこれが必ずしもフェイズスペース、インタベンションスペースと限定されるわけではなく、あくまでも説明の都合上明確に線引きがされているということです。

 

ポジショナルプレーで絶対的に必要なコンセプトを説明するためにはこのフェイズスペース、インタベンションスペースの説明が必要となるため、その二つがイメージしやすいように今回はかなり明確な線引きにしてあります。本来はもっとざっくりとした感覚的なものだ。ということは頭に入れておいてください。

 

さあ、重要な三つの概念(優位性、相互作用、スペース)の説明がついに終わりました。次の項ではこの3つのコンセプトが合わさってできるサポートについてふれていきます。

 

・サポートとは?

さて、みなさん何気なく「サポート」という言葉を使っていると思いますが、ではサポートをしろ!というのは具体的には何をすることなのでしょうか?

 

おそらく、そこらにいる中学生や高校生、下手をしたら指導者でさえも明確には説明出来ないのではないのでしょうか?

 

味方を助けること?ボールを受けれる位置をとること?じゃあそれって、近寄るの?離れるの??

 

味方を助けろなどよくいいますが、どうやったら味方を助けられるんでしょうか?たしかにボールを受けれる位置を取ることは味方を助けることになるでしょう。じゃあボールを受けれる位置ってどんな位置なんでしょうか?ボールを受けるためには近寄ることもあるでしょうし、離れることもあるでしょう。

 

そう、実はサポートという言葉は案外よく分からないことばなのです。もし指導者がプレーヤーに対して、こんな曖昧な言葉でサポートしろ!!とか叫んでいたとしたらプレーヤーが適切な位置を取れるわけありませんよね?

 

しかし、ポジショナルプレーという概念においては、それを構成する3つの概念を理解していれば、かなりサポートという言葉の抽象度を落とすことができるのです。

それでは、ポジショナルプレーにおけるサポートについてみていきましょう。

 

✩サポートを言語化しよう。

まず、サポートという言葉について一応定義させてもらいます。

 

サポート=ボールホルダーに対して相互作用を与えられるポジションを取ること。

 

この定義ではたしかに抽象度は高いままですが、すでに相互作用というのがなにかは述べていますからサポートという言葉をさらに分解することができますね。もっというなら相互作用をもたらすポジションとはどのようなポジションなのかも既に説明済みですからさらに分解可能です。

 

整理します。

サポート=相互作用を得られる=スペースと選択肢を得られる=優位の三条件をみたす。

 

となるわけです。いままでのざっくりとしたサポートよりも取るべきポジションというのはかなり限定されますね。

 

かなりサポートについて詳細の説明をしましたが、まだ不十分です。というのもサポートというのは2種類あり、今の説明ではその2種類の区別ができないからです。さあ2種類というのはどういうことなのでしょうか?

 

✩直接的サポートと間接的サポート

 前の項で、サポートとは3つの優位性を保つポジションをとることである。と述べましたね。おそらくここまでの説明を聞いた時みなさんが思い浮かべるサポートの光景はこのようなものなのではないでしょうか?

 
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水色の丸で囲まれた選手がサポートだ。というような光景です。

 

これは2種類あるサポートのうちの片方のサポートである直接的サポートに当たります。ボールホルダーに対して直接的にパスコースを与えていますよね。なので直接的サポートです。ただ、全員がボールホルダーに対して直接的にサポートすることって不可能です。なので、ボールホルダーからの位置関係によって、サポートの役割分担をする必要が出てくるわけです。そこで出てくるのが間接的サポートになるのです。そして、直接的サポートと間接的サポートを理解する上で先ほど扱ったフェイズスペース、インタベンションスペースの考え方が生きてきます。

では、もう片方のサポートである間接的サポートも確認しましょう。

 

間接的サポートとは簡単に言えば、フェイズスペースを広げることになります。よく言われる例を挙げるなら「ウイングはタッチラインまで張っておけ」というやつです。これが最もわかりやすい例でウイングがサイドラインまで張ることによってフェイズスペースは広がります。その結果として中央にスペースができるよねというのはもはやおなじみ。間接的サポートとは要するにこういうことです。他にもCBがカウンターに備えつつ、ビルドアップのやり直しにそなえる。とかチームのバランスを整えるポジションを取ることも間接的サポートにあたります。サイドバックインサイドハーフ化などもそれにあたりますね。これは中盤の数的優位を保ちつつインサイドレーンからのカウンターのケアをしますから間接的にサポートすることになっています。

 

 
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 (図ではCFはDFラインと駆け引きしてスペースを確保しようとしているし、ウイングも同じ、左SBの2は中盤に参加しつつインサイドレーンをケアしている。)


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 (この図ではFWがDFラインに駆け引きをしていないため使えるスペースはかなり狭い。)

 

いかがでしょうか?サポートについて伝わりましたか?一応書いておくと直接的サポートというのはインタベンションスペースの中で行われるものということになります。ですからなるべくインタベンションスペースの最大値のところに立つことが直接的サポートで重要なことになります。

 

そして、ここがサポートを理解する上で最も重要なことですが、サポートは直接的サポート、間接的サポートが合わさって初めて成立する。ということです。下の図を見てください。

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この図の状況ではインタベンションスペーススペース内での直接的サポートが欠けています。これではボールホルダーに対してパスコースはありませんから、選手同士の相互作用は失われています。つまり間接的サポートだけでは意味がないということです。

 

それでは、最後にサポートについてまとめます。

サポート=直接的サポート、間接的サポートの両方があって初めて「サポート」は成立する。

 

・まとめ

さて、ここまでポジショナルプレーについて書いてきましたが、ポジショナルプレーというのはどういう考え方かというのを大分分解してきたつもりです。ポジショナルプレーというのは至ってシンプルな考え方なのです。

よりよいポジションに立つことにより、選手同士の相互作用を発揮し、相手より優位に立つ。

目的はただこれだけです。ここまでかなり長々と書いたきましたが、もしポジショナルプレーというものを雲の上の難しいものだと思っていた方が、このブログを読んで身近なものに感じていただけたら僕はうれしいです。いちおうこの後も実践編というの書く予定なので、もし興味がありましたら、実践編も読んでいただけたらもっと嬉しいです。

 それでは、長文読んでくださりありがとうございましたm(_ _)m